北海道・開陽台そして、夢かなう。
ゴンゴンゴン!
はっと目を覚ました。午前2時47分。
耳を澄ました。何も聞こえない。
ビールのせいで、ぐっすり眠り込んでいた。
聞き間違いか。イヤ、確かにこの車を叩く音がした。
息を潜めた。誰かカーテンの隙間から覗いているかもしれない。
しばらくすると、ぶぉーんという車が去る音が聞こえた。
眠った場所は中標津空港。無料で車を泊めれるのを知っていたのでここへ来たのだ。あんまり端っこに置きすぎたかな。明日早く起きて去ろう、そう思い再び眠りについた。
起きたのは6時過ぎ。そのまま、近くの道立の公園へと移動した。この公園は開園と閉園の時間が書いていたのでそれ以外のときは門が閉まっているのかも、と思い、昨日はここへは泊まれなかったのだ。しかし、この公園は緑が豊かで、きれいで、とっても静かな場所。水場にも誰も来なかったので、近くのベンチでご飯を作り、洗濯を済ませ、体もフキフキ。父親の実家が愛媛だというおじちゃんと出会いおしゃべりをしてときを過ごし、気がつけば10時。
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広々です |
天気もいいことだし、開陽台へと行きますか。
中標津から開陽台への道が好きだ。真っ直ぐ伸びていて、ちょっと起伏があり、その真っ直ぐ具合がはっきりわかるからだ。
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こんな道 |
今日はまた天気がよくて、開陽台から広がる景色が今日はまた雄大に見えた。以前に見た風景よりもっと広がりが出たようなそんな気がした。しんとした茶色と白の冬。活気のある緑と青の夏。どっちも好きだ。
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山々もグッド☆ |
しまった、ここだったか、キャンプ場! |
地球が丸く見える・・・! |
しばらく景色に見入っていると何故だか羽アリ?が大量に居ることに気がついて、あちこちにくっついて来たので退散(;・∀・)。
さぁ、そろそろ牧場へ向かおうかな。
中標津の街からの道も実はあやしい。どこから入るんだったかなぁ。ウロウロしていると、大型ショッピングモールが出来ていたり、セルフスタンドが出来ていたりして中標津の街は大きく変化していた。約5年の月日はやはり大きいようだ。
通り過ぎたり、いや、この景色見たことあるぞ。記憶を手繰り寄せ、道を探していく。中標津から約40分の道のりだったはずだ。わからなかったら電話しますと言ったけど、何度もあの頃通った道、きっと覚えているはず。
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この道は |
印象的な牧場が2軒あり、しばらく走ると見覚えのある道が。ま、まちがいない!進んでいくと大きなトラクターに乗った男性がいた。
もしかしてだんなさん?
大きく手を振ってみると、大きく手を振り返してくれた。だんなさんだ。
5年ぶりの牧場。辺りは一面緑で、白かったあの頃とは全く違うけれど、モウモウと響き渡る「音」や「におい」は何にも変わってなくて、何年もここへ来てない感じなどしなかった。
しばらくすると、だんなさんが戻ってきてくれ、出かけていた奥さんも帰宅。
「おひさしぶりです。そうそう、いつ馬を飼い始めたんですか」
前はいなかった馬が2頭、広い敷地にいたのだ。ちょ、ちょっと!!何度も見たことはあったけどこんなに近くで見るの始めてかもYO!
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そして、初めて馬に触れる |
実は全部で3頭いるそうで、牧場の従業員のSさんが知り合いから預かった馬なのだそうだ。1頭はまだSさんの元にやってきたばかりでSさんとの信頼関係が出来てないので、外には出せないとのこと(急に走り出したりするそうで)。わたしが触ったマンデーは、月曜日に生まれたのでマンデーという何とも単純な名前の牛だったりするのだが、5月に生まれたばかりでまだまだ小型の女の子。
めっちゃかわいい!馬を初めて触ったけれど、サラサラで落ち着いていて、あごがフニフニしていて気持ちいいのだ。
お、ハッチが白に変わっている!どれどれ、今は子牛いるかな。
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ハッチ=子牛のおうち |
かわいい、ボビーくん |
そこにひょっこり顔を出してきた黒牛。ロープがついているんだけど。散歩させてるの?しかし、かわいいなぁ、このこ。わたしは基本的に白と黒が1:1くらいの柄のオーソドックスな牛がすきなのだが、この子牛を見たとき、子牛のももちゃん(わたしが5年前にかわいがっていた牛)と同じぐらいのトキメキを感じたのである。とにかく目がかわいい!!
訊けば、名前はボビー。生後まだ2週間ほど。黒毛和牛とホルスタインのハーフで、鍛えるためにゆずくん(ここの牧場の小学生の男の子)が散歩をさせているそうだ。黒毛のオスはホルスタインよりも市場で高く売れるそうで、オスは見てくれが大事。他の牛に食い負けなさそうな大きな口と、ゲンキのよさ、足がしっかりしていることは高値で売れる条件なのだ。
食い負けしない=エサをいっぱい食べる=体が大きくなる=肉の部分が増える=飼い主としては嬉しいこと。
しばらくおうちで奥さんとおしゃべりをし、3時半頃、搾乳に行くとのことなのでわたしもツナギ・帽子・長靴をかりて早速やらせてもらうことにした、イエイ。
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出陣 |
ここを去るときに、必ずももちゃんが母牛になったらここへ戻ってきてチチ搾りをするって決めていた。ささやかなわたしの夢。ここの家族の人たちもわたしがももちゃんをかわいがっていたのを知っているから、その後の写真を送ってくれていたのだ。牛は基本的に1年1産。もうももちゃんは3回こどもを産んだ立派な母牛。当時45kgほどだった体重は推定700kg(ももちゃんが子牛のときの写真はわたしのメインHPの牧場生活のところにあります)。
ももちゃん、まだ来ないかなぁ。
「ももちゃんはね、最後のグループだよ」
「あ、かおりちゃん、これ、ももこ。上に上がって見てきたら」
チチを見ただけでどの牛かわかる奥さん(ちなみに搾乳できる乳牛だけで100頭ちょっといます)。
まずは乳からご対面し、階段を登っていくと、558番の耳標をつけたももちゃんがハムハムしてそこにいた。
「ももちゃん、おおきくなったね、会いたかったよ」
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ついに、夢かなう |
ももちゃんです |
ももちゃんはそっけなかったけど(笑)、でもうれしかった。ナデナデした。本当に大きくなったなぁ。きっと牛のももちゃんはわたしのことなんて覚えてないだろう。
でも、だんなさんや奥さんは言うのだ。
わたしが居たあの頃、子牛がいっぱい産まれてそれでもかわいがっていたから大きくなってもこの550〜565番あたりの牛は人に対して恐怖心がなくて人懐っこくって、すぐ近づいてくる。子牛のときかわいがっていたのをきっと覚えているんだろうって。そうなのだ。あの頃産まれた牛にはみんな名前をつけてかわいがっていたのだ(ももちゃんだけひいきしてたけど(爆))。
ももちゃんは相変わらずおっとりしていた。559番のめんちゃんはいちばん近づいてきてくれて、ペロペロと長い舌でツナギをなめてくれた。
来てよかったと本当に思った。
夜には、ゆずくんもいくちゃん(中学校の娘さん)も学校から帰ってきてにぎやかに。すっかり大人になって!
「かおりちゃん、バーベキューもしなくちゃだし、キャッチボールもしなくちゃだし、うーん、1ヶ月くらいいれるの?」
えっ?さすがに10月には戻らないとだし。っていうかおじゃまだと思って1泊のつもりでいたのに。何だか話はいろいろと進展し、どうやら週明けくらいまでわたし、お世話になっちゃうようです、てへっ。
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