ジムのニホンタビ

T:ジムは男の子の巻
写真/文 : かおり
ほんとのことを言うと、僕はどきどきしてたんだ。
だってフェリーに乗るのなんてはじめてだったから。
ガタゴトガタゴト。
どこに連れて行かれるんだろうって不安だった。
だって僕はもう11年生なんだ。
ゆっくりじゃなきゃ走れないってことは、かおりも知っている。
「ねぇ、こんなに荷物を持って、これからどこに行くの?」
「あれ?言ってなかったっけ?日本中よ。日本中を走るのよ」
「聞いてないし!」
・・・でもまぁ、いいか。付きあってやるとしよう。
しかし、毎日の寝床が決まっていないってのは不安なもんだ。
ときどき、夜中にかおりの心臓の音がよく聞こえる。
ドキドキドキドキ・・・
でも大丈夫。
僕がいるから、安心して眠ってもいいよ。
だって僕は、どこだって走れる
男の中の男、ジムニーなんだから。
僕は強いんだよ。
つづく。