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2005年7月19日(火) くもりときどきはれ <100日目>
出発地:北海道利尻富士町
ファミリーキャンプ場ゆ〜に
現在地:北海道利尻富士町
ファミリーキャンプ場ゆ〜に 
走行距離:76.7km ★ 計:11779.8km 出費:4566円
食費:3036円 観光費:160円
生活費(ステッカー・かるた):1370円


北海道・利尻島一周、最後の夜。


本日8時半起床。

最後までお手伝いしようと思っていたのだけど「今日はたいしたことないし、かおりがいたら頼ってしまっていたから、一人でするべ(笑)」とおっちゃんが言うもんで、今日はおとなしく見守ることにした。

洗濯物をして早々に利尻観光に出るつもりだったのだけど、会社の人がお給料をもって来てくれるとのことなので、11時までには来るだろうからちょっと待っててと言われた。え、11時?遅。

それまでにテントの中のいらないものたちをジムへと移動させることにした。

うむ、寝袋も今日は1枚でいいだろうし。1枚は片付けておくか。そう思って引っ張ると。あれ?取れんやんか!むぎーっ。あーん。食い込んでいます。

下には下がるけど、上には上がらないという状況。力任せにすると、コウイチさんのようにファスナーが取れちゃうかもしれないし。うーん、でも、力任せにせにゃ〜どうにもならんよね。えいっ、えいっ!

ぐしゃ!

ぐしゃ?何だ、このオケツの感触は。

恐る恐る手探りで探してみると、絡み合った2つの寝袋の中から、礼文のおばあちゃんからもらった大事なカップラーメンが出てきました、無残な姿で(中身もハミってます)。おばあちゃん、こんなにしちゃってごめんなさい。ちゃんと食べるからね。

がびーん ぐしゃ

寝袋は格闘の末、何とかかんとか離すことに成功。やれやれ。

10時過ぎくらいにおねえさんがお給料を持ってきてくれました。ありがたく頂戴いたします。昆布のバイト料を少し使って、普段お世話になっている人にお土産を送ったから、またこのお金でも誰かに送ることにしましょう。誰に届くかは知らんけど。これはなかったはずのお金だからね。

頂戴します パチリ

まだ明日があるっていうのに、おっちゃんが「もしかして会えないかもしれないから」だんていうから、一応写真を撮っておく。こんなに長い間一緒にいたのに、写真撮るのは初めてだね。ケイタイと住所の交換は早かったのに(笑)。

そして、今日は反時計周りに利尻島を周ります。

わたしの利用率ンバーワン
お世話になりました、ツルヤ
この地名すき
ポロフンベ

そして、ビンを戻すついでにミルピスへ向かった。前回は店内のメニューは見なかったのですが、店内には「ギョージャニンニク」とちゃんと書かれていました。飲んでみようかなぁ、と思ったのですが、おばちゃんが(今日はきれいなおねえさんではなかった)「うーん、クセがあるから飲みにくいかも」だなんて売っているくせに言うもんだから、これにすることしました。

利尻こんぶジュース

おばちゃんがおやつにかっぱえびせんをくれ、ボリボリ食べながらグビグビ。昆布の味でした。当たり前だけど。甘みがあって、昆布茶の冷たいやつ、と言えばわかりやすいですかね。これはこれでおいしいけど、やっぱりハマナスのほうがおいしかったなぁ。

それから向かった先は、沓形の見返台園地。大きな道路から5kmばかり山を登る。

・・・ウ〜ン。

ここ最近平らなところしか走ってなかったもんね。ジム、頑張るのだ。利尻山(通称・利尻富士)には、3つのコースがあって、一つはわたしが登った鴛泊コース、一つは現在危険なために一般登山者通行止めの鬼脇コース、もう一つがこの見返台園地(標高450m)から登れる沓形コース。

沓形コースだと、すでにこの見返台園地で5合目。でも、鴛泊コースに比べ、落石の危険があって一人では危ないとみんな口々に言っていたので(実際歩いた人も)、わたしは歩かなかった。本当なら沓形〜鴛泊コースを歩けたら行き帰り違う道を通れて楽しいんだろうけどね。また、誰かと来たときのためにとっておきましょう。

見返台園地

天気のいい日に山にも登ったし、今日は時折晴れ間が見えるものの、利尻山も雲に覆われたイマイチの天気。眺めたところで?って感じではあったのですが、せっかく来たので上の展望台まで登って見ることにしました。

おぉ、階段、番号付き ラス1・・・長っ

「あと〇〇段」と書いてあるのは黒部ダムなど他でも見たことあったのですが、一段一段に書いてあったのは初めてでしたね。親切です(笑)。まぁ、せっかく登ってもお天気のせいで×だったのですが、無料望遠鏡があって覗くと、わたしの目では見えなかった礼文島の元地灯台がくっきり見えてちょっと嬉しかった。おばあちゃん、おじいちゃん、ゲンキかなぁ。

礼文島、ノゾキ魔K ウーム コシカギク?

下に降りて、辺りを捜索してみると、よく見かけてはいたけれど撮ってない花が咲いていたのでパチリ。また帰って調べなくっちゃ。

もうお昼だし、そろそろ食べに行くか。

朝から何も食べてなかったのは、大阪のご夫婦でバンガローに招待してくれたOさんご夫婦が1000円の日替わり定食は本当に食べるのが苦しかった、でも品数が多くてよかったよ、と教えてくださって一度行ってみたかった「食堂・勿忘草(わすれなぐさ)」。のぼりがなかったら普通に家みたいですが、中はきれいなお店でした。

Oさんご夫婦が、「もし行くなら朝食べないで行ったほうがいい」とアドバイスをしてくれていたので、パラペコにてゴー。今の大食いのわたしなら恐らく、普通に生活している男子よりも量を食べていると思います。

食堂 1000円の日替わり定食、でーん

でました、どんぶり飯(笑)!

ちなみに内容は、おでん6品、かずのこ、はるさめと白菜の炒めもの、こんぶとホタテの煮物、魚の煮付け、きゅうりとレタスのサラダ、おつけもの、ごはん(大)、おみそしる。

結論:うまかった。完食したが、お腹が妊婦さん状態。

いやぁ、なめてましたね。Oさんのおっしゃることをちゃんときいてお腹空かしてきてよかったです。でも、残すという失礼なことしなくてよかったです、ホッ。ごちそうさまでした。

2日分の日記をCD-Rに焼いて来たので図書館に向かうのだけど、本日休館日ということが判明。明日出発前に来れるかな。まぁ、フェリーは3便でも4便でもいいんだしね。依然天気がイマイチなんだけど、とりあえずすぐ側の沓形岬へと向かう。

3連休も終わってどこのキャンプ場もシンとしているんだろうか。まぁ、特に今年はお客さんが少ないと言っていたけど、沓形岬キャンプ場もわずかにテントが3張あったのみ。やっぱりここは風が強い。

沓形岬灯台 ハマナスの実

近くを散策していると、ハマナスの花の近くにできていた実らしきもの(注:後日ハマナスの実であると教えて頂きました)を発見。ミルピスのおねえさんが、そんなに遅くならなくても、8月頃になるとまぁるい実になると言っていたけど、もしかしてこれがハマナスの実なのかな。プチトマトが赤くなる前みたいだ。

オタトマリ沼では、歩いていると若干天気がよくなってきたけれど、風が強いので逆さ富士は無理。まぁ、他のところで見たからいいか。

遊歩道より
オタトマリ沼

目を凝らして歩いているとそんなには多くないけれど、少しばかり花が咲いておりました。座り込んで花を撮っていると、先ほど挨拶した大きなカメラを持った中年の男性がわたしに追いついて、「花を主に撮るのですか」と声をかけてくれた。

「最近撮ることが多いです。島に来て、花が好きになりました」

そう答えると、「いい写真を撮ってくださいね」と言ってくれました。今まで出会った人にそんなこと言われたことなかったから。何だか嬉しくなりました。

花その壱 花その弐 シロツメグサ

ぐるりとオタトマリ沼をのんびり歩いたのには理由が。

ハマナスソフトクリームを食べたい!

見つけたとき、今すぐにでも食べたい衝動に駆られたのですが、お昼食べた定食がまだまだ効いておりまして、別バラのスペースにまで食い込んでいる模様でした。しかし、時間をかけて歩いたおかげでソフトクリーム1個だったら入りそう。ここで逃したら食べれないような気がして。

ハマナスソフト

多分、ミルピスでハマナスジュースを飲んでなかったら食べてなかっただろうな。飲んでいたから味を知っていたけど、おいしかったです。個人的には、熊本のデコポンソフト、東北で食べたこくわソフトに続いてうまかったです。ハマナスジャムも買ってみようかな。

郷土資料館 トド太郎

続いて行ったのが鬼脇にある郷土資料館。割引券を持っていたので160円でしたが、実にこじんまりとした、シ〜ンとしたところでした。これだけお世話になった利尻島。少しでも何か知れたらいいなと足を運んでみたわけです。

昔はニシン漁で賑わっていたとのことで、それが大きく取り扱われていたのだけど、わたしが気になるのはやっぱりウニだとかアワビだとかそういう話でありまして。昭和の初期では、ウニって昆布の害虫として駆除されていたことがあったとのこと。今では考えられませんね。もったいない!昔は生でそのまま食べる習慣がなかったので、塩漬けにして樽に入れて出荷されていたそうだ。アワビも今では昔に比べて激減したので、漁ができる期間が大幅に短くなったようです。フムフム。

新聞は稚内から来るから、今でこそそう遅れることはないそうなのだけど、何日も海がしけるときには1週間分まとめて新聞が届いたりするそうだ。ガソリン代だって高い。食料品だって、特に果物が高いそうで愛媛のわたしからしたら信じられないのだけど、みかん1箱が5000円もするらしい(いつも隣の農家のおばちゃんがタダでくれるけど、買うにしても1箱1000円も出せばね)。

何人かに、不便は感じないか、と訊いた。

「普段生活している分には感じない。でもいざというときは思うね。病気にかかったときとか。いい医者がいない」

みんなそう口を揃えて言っていました。他にも、キャンプ場の炊事場の水漏れだって何度も直す人が来てやって「直りました」と言っても、次の日には漏れています。一度ならともかく。つまりは直せないのか?って問い詰めたいくらいなんだけど(笑)。

えぇって言う、エピソードも郷土資料館に加えてくれたら面白いなぁと思うのですが。ある意味暴露だからやっぱりだめ?

Kさんの奥さんからも話をきいてはいたのだけど、ここの資料館でも紹介されていた、利尻の方言の本。紹介されているのを見ていたらやっぱり欲しくなったので、直接それを作った、フェリーターミナル前の「食堂・さとう商店」の佐藤さんのところへ行ってみた。

そこにいたのはステキなおばあちゃんで、もう利尻に80年以上住んでおられるそうだ。2冊あって、1冊は利尻の方言がまとめられた文字だけの本(辞書みたいなもの:500円)。一冊は利尻の方言を使って、カルタ風にした絵も書かれている本。意味もちゃんと書いてくれているのでわかりやすい(800円)。

こんなの

昔からの方言を知っている人に聞いて周って、作り上げるまでに2年以上かかったそうだ。本を出版するまでの経緯も聞けて、本屋さんで買わないで直接買いに来てよかったと思った。帰るときに、

「よい旅を」

と声をかけてくださった。

「よい旅を」、Have a nice trip.

わたしが人と離れるときに一番言われて嬉しい言葉がこれだ。ひさしぶりにこの言葉を投げかけてもらえた気がして、すごく嬉しかった。

キャンプ場へ戻って、今日の画像整理をしているとおっちゃんが怪我をしたシマリスを連れてきた。どうやら左前足の付け根がやられているようで、歩けないらしい。何かに引っかかったのかな。「孫たちに世話をさせるから連れて帰ってくる」とおっちゃんは家に戻っていった。

早くゲンキになってね

その間に、本日感謝の気持ちを込めて、おっちゃんとジミにしちりんパーティをする具材をゲットしに出かけた。お店の人に「しちりんならやっぱりサンマでしょ」と言われ、夏なのにサンマを購入。この時期生のがあったりするんだね。あと、ツブ貝や骨付きソーセージ、ジンギスカン、飲み物も購入。ホタテとかエビとかも欲しかったけど、見当たらなかったので断念。

そして勝手にしちりんをひっぱり出してきて、スタートです。

って一体どうやって火を起こすんでしょ、しちりん。

お客さんが残していってくれてた、着火材と火箸、焼き網を使って試行錯誤の上、何とか点火。こんな感じでよいのかな。ぜえぜえ。もうこの時点で疲れたので、サンマもハラワタ取らずにそのまま乗せます。エイッ!

こんな感じになりました

上からパタパタ仰いでいたら、おっちゃんがやってきて「かおり、下の穴空いてるところからこうやってパタパタするべ」と言われた。おぉ、みんなパタパタやっていたけど、下のとこからやるんだね。勉強勉強。

「これも食べれ」と言って乗せてくれたもの。それはアワビ。わーい。おっちゃん、ありがとうね。

「もうサンマ焼けてるな、このまま食べるべ」と言うので、網の上から直接食べます。おっちゃんが乗せろ乗せろと言うので乗せたらこんなになりました。

汚くてすまぬ
満員御礼!

しちりん、こじんまりとしてすごくいいね。欲しくなっちゃった。おっちゃんとつつきながら、出会ったときの話や恋愛話で盛り上がる(笑)。たった3週間だったけど、いろんなことがあったよね。話をしていると、じわじわだったしちりんの火がどんどん大きくなっていった。

「いい感じになってきたな。これで貝が本格的に焼けるぞ」

あぁ、でも、この網の上の食べ物がなくなったらもう、利尻の夜は終わりなんだ。

そう思うと何だか悲しくなってきた。

毎日こんな日が続くんじゃないかって思えたときもあった。

「まさかこんなジジイになって、かおりみたいな子と出会って一緒に仕事をするとは思わなかった。利尻にかおりみたいな子はいない。もう二度とこんな子には会えないと思う。俺がもっともっと若くて独身だったら、かおりのこと口説くのにな(笑)。今日、しちりんでこうやって食べたこと、一生忘れないよ」

「最後みたいなこと言わないで。また同じ日本なんだから、会えるし、また来るよ」

またあう日まで☆

しちりんの火が消えたら夜が終わる。

思い切って水をかけると、ジューっと音をたてて白い蒸気がモクモクと出た。これで終わりなんだ。

「おやすみ、気をつけて帰ってね」

こう言うのも最後だ。

テントの中に戻っておっちゃんに手紙を書いた。こらえていたナミダがどんどんどんどんあふれてきた。いっぱい今のうちに泣いておこう。明日は笑ってお別れが言えるように。

雨も降ってきたみたいだよ。

好きな場所を離れること。恋の終わりと何だか似ているね。


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