北海道・風の知床。
雑誌を読んだり本を読んだりビールを飲んだりしながら、どんどん激しくなる雨の音を聴きつつ眠ったのは11時過ぎ。8日が本番らしいからねぇ。
しかしだ。
ほのかな暖かさで目が覚めたとき、空には青色と灰色が仲良く半分こずつ広がっていた。
ふむ。
台風は去ったのか。
おじさんたちの会話に耳を傾けると、「オホーツク海辺りまで行って、台風は去った」そんな内容が聞こえてきた。そうなの?夕べがピークだったの?雨はすごかったけど、台風って感じじゃなかったなぁ。
それでも8時を過ぎたこの今から準備して羅臼岳に登れるほどこの山は甘くはない。結局は明日まで待つしかないのだ。のんびり身支度をして、また読書。今日は、「遠い海から来たCOO」。何度読んでも飽きないし、好きだと思える本だ。
徐々に国後島も見えてきたので、林間キャンプ場の近くにある展望台へ行ってみることにした。駐車場の近くは工事中で、もう行き止まりで車が来ないであろう道の路肩に車を停めてまた読書。
しばらくすると、見えていた国後島は姿を消し、徐々に重たい雲が空を覆っていった。今日は早めにキャンプ場へ行ってテントを張ろうと思っていたのに。パラパラと降りだす雨。そうか、今日は雨のち晴れになっていたしね。しかし、雨ではなく今日の主役は風だった。
それも暴風。
吹き出した風はエスカレートするばかりで、停まっているはずのジムのハンドルはクルクルと回り、少しだけ開けていた窓の隙間から木の葉や砂埃が避難させてくれと言わんばかりに入り込んでくる。
ガードレールのような柵はあったものの、すぐ側は山の斜面。グラグラ揺れるジムの中で何だかわたしは一人どきどきしていた。工事中のカラーコーンは次々と吹っ飛んでいく。
しばらくすると、大きな真っ白の雲と青い空と国後島が見えてきた。暴風は海の色を青から白へと変化させ、さらにわたしの心をときめかせた。こんなに風が吹いているのに、大きな雲はまるで動じない。ゆっくりゆっくりと動いていた。
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遠くに国後島 |
どっしり |
3時間はそこに居ただろうか。お昼も過ぎ、このままもっと風が強くなったら車を動かすことも怖くなりそうだったので移動することにした。途中、羅臼の町がとても綺麗に見えて車を停めて写真を撮ろうと思い、外に出ようとした。
ギギギ・・・!!フンガ(;∀;)。
少しだけ開けた運転席のドア。外には出てなかったのでわからなかった風の本当の凄さ。ドアはこんなにも開くのかと言う位、180度近くオープン(開)。両手で止めようとしたけれどこの風に逆らえるはずはなかった。開いたドアから車に吹き込んだ風は、どこに置いていたかさえ忘れていた何枚かのパンフレットを撒き散らし、傘は車外に吹っ飛んでいった。
ピキ!!
やばい、ドアが取れちゃう。
本気で思った。「ドアが取れる」
どうにかこうにか、あるだけの力を使ってドアを閉めた。
うそやんー何これ!!
そして、ジムに容赦なく襲い掛かった暴風は、ジムの劣化したゴムを引きちぎった。ちょっと、オンボロなんだから勘弁してよ。風の向きも考えずわたしが外に出ようとしたばかりに。
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参りました(白旗)
まさかちぎれるなんて! |
とりあえず道の駅に避難し、駐車場に車を置いたものの、隣に車が来ると怖くて外に出れない。さっきみたいにドアが風に持っていかれたら、隣の車にぶちあたること間違いないからだ(大汗)。
アロンアルファがあったので、気休めにくっつけてみたもののブチョっと出て手にくっついちゃうわ、はがそうとすると身までとれちゃいそうになるわで一人大騒ぎ。
隣の車も居なくなったところで外に出てドアを閉めようとすると
あの、閉まらないんですけど。
うそん!
何回かやってみてようやく閉まった。何かが挟まっている感じでもないのだが、どうやら閉めるのにコツのいるやっかいなドアになってしまったようである(凹)。
さっきから凹みっぱなしのわたしだけど、それでも道の駅の屋外展望台へ行ってみるとそこには100点満点の大きくてくっきりはっきりとした虹がかかっていて、まぁこんなこともあるよね、と思わせてくれた。お金を出して見てもらえば直るだろうし、取り返しのつかないことなんかじゃないんだもんね。
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虹 |
暴風はいつまで経ってもおさまらず、ウトウトして起きてもまだすごかった。
また熊の湯にでも入りに行こうか!
薄暗くなった熊の湯はライトがついていてムーディな感じに。暴風+小雨も降ってきた露天風呂の女湯には誰もいなくて、これはラッキーと嬉しそうにすっぽんぽんになった。
なって気がついた。
あの、水溜りが出来てどこからどこまでが温泉だかわからないんですが(爆)。
洗面器で温泉のお湯をすくってみると、何だか昨日とは違う、気持ち茶色いような?いやいや、薄暗いせいだ!ということにし、素っ裸でまずは浮いた葉っぱや、流れない排水溝をお掃除。
誰も来ないでよ。まぁまぁ今わたし、必死だから!
願いどおり、終了しても誰も来ず、体を洗ってチャポン。
あ、熱いー(;∀;)。
これが言っていた熊の湯の本当の熱さなのか。かけ湯をしたときは気がつかなかったけど底が熱い!!水ホースがあるところへと移動し、ようやく入れるくらいの温度を感じるようになった。ホッ。頭に巻いたタオルが吹っ飛ぶほどに暴風を感じながらの露天風呂。こんなワイルドなの、もう二度とないかもしれないな(笑)。
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ムーディ |
ギョギョ! |
あったまりました。今日もありがとうございました。注意事項が書いてあるのだけど、わたしは9番目の「湯船を掃除〜」という項目が好きだ。
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熊の湯十か条 |
来たからには余裕と時間を持つ。それが楽しむということに繋がるんだなぁと思ったりするのである。
夜8時。未だに風はおさまらない。暴風警報が出ていた。
いつ風が止むんだろう。明日はいよいよ羅臼岳に登れるのかなぁ。あ、コーラにつけておいた指輪は若干薄くなっていたもののやっぱり10円玉色に変わりはありませんでした。そんなに甘くはないよね。
画像の説明が青のものはクリックすると大きくなるか、違う画像が出ます。
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